本日、日銀政策決定会合が行われ結果が公表されました。
概ね観測報道記事通りの内容です。概要は下記の通り。
- ETF購入の上限12兆円を維持も年6兆円を文言削除
- ETFの購入をTOPIX連動のみとする
- 長期金利の誘導を-0.25%~0.25%程度と0.5%拡大
全文はコチラでご確認ください。
これを受けて、株価市場の動きに変化がありましたので解説したいと思います。
ETF購入姿勢の変化内容
日銀はこれまで、
「ETFおよびJ-REITについて、当面は、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、積極的な買入れを行う」
とし、ただし書きで
「ETFおよびJ-REITの原則的な買入れ方針としては、引き続き、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行い、その際、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする。」
としてきました。今回の会合でこのただし下記を削除し、更に、
「ETFおよびJ-REITについて、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、必要に応じて、買入れを行う」
と、文言を和らげました。
これまでは、TOPIXが前場終値で-0.5%だった場合に機械的にETFを買い付けてきました(この条件自体は日銀が発表したものではなく市場の推計です)が、これを取りやめる事になります。
簡単に言うと、高いところは買わない。下がったら買う。となります。まるで投資家みたいです。
もうひとつ重要なのが、ETFの購入をTOPIX連動のみとした事です。これまでは、6兆円購入の内、4兆円をTOPIXに、1.5兆円を日経平均に投入してきました(厳密にはTOPIX、日経平均、JPX日経インデックス400の3指数に連動するETFを対象に銘柄ごとの時価総額におおむね比例するように買い入れ)が、これをすべてTOPIXに振り分ける事になります。
当然、日経平均自体には悪材料となります。
株式市場への影響
銘柄コード | 銘柄名 | 株価 | 構成比率 | 前日比 | 日経平均寄与度 |
9983 | ファーストリテイリング | 91,020 | 11.00% | ▼6.10% | -212.83 |
9984 | ソフトバンクグループ | 9,969 | 7.23% | ▼2.46% | -54.23 |
8035 | 東京エレクトロン | 42,130 | 5.09% | ▼2.59% | -40.33 |
6954 | ファナック | 26,715 | 3.23% | ▼2.93% | -28.99 |
6367 | ダイキン工業 | 23,150 | 2.80% | ▼0.58% | -4.86 |
9433 | KDDI | 3,500 | 2.54% | ▼0.85% | -6.48 |
4063 | 信越化学工業 | 18,640 | 2.25% | ▼0.88% | -5.94 |
6857 | アドバンテスト | 9,220 | 2.23% | ▼1.18% | -7.92 |
2413 | エムスリー | 7,595 | 2.20% | ▼2.43% | -16.33 |
4543 | テルモ | 3,959 | 1.91% | ▼1.03% | -5.91 |
これは、日経平均の構成比率上位10社とその値動きとなります。
構成比率が高い銘柄は軒並み売られました。それもそのはずです。
日銀は概ね20%ほどを日経平均に投じていますので、株価が下落した際には500億円(1月の日銀の買い入れ額)の内100億円が日経平均に。そのうちファストリ(9983)には10億円が流れる計算になります。
これが剥落するのですから当然の流れでしょう。
という事で、今後は構成比率の高い値嵩株は軟調に推移し、TOPIX構成銘柄のうち割安なセクターが見直されると思います。
そこで個人的に注目しているのが、円安メリットの株です。
ご覧の通り、足元では急激に円安が進行しています。かつては円安により日本の主力産業である輸出産業の利益が嵩上げされるとして株価が上昇したものです。この流れが戻ってくるのではないか?と考えています。
大型でいくならトヨタ(7203)でも良いと思いますし、小型ならたくさん放置されている銘柄があるので今度まとめてみたいと思います。
長期金利目標の変化
もうひとつ重要な点は国債の長期金利の誘導目標の変化です。これまで上限0.2%としていたものを、0.5%拡大して0.25%としました。
もともと、国債利回りを抑える方針は国債の買付主体となる銀行や生保の収益を圧迫するという副作用が懸念されていました。
今回、この懸念を払拭する狙いがあります。
一方で上限緩和を行う事で無秩序な状態にならないように、連続指値を導入するなど市場への牽制は忘れていません。
同様に短期金利なども銀行収益に配慮しています。
株式市場への影響 銀行株の上昇
これは銀行株の指数となります。
もともと、アメリカの10年国債利回りが上昇している事で、銀行収益改善の世界的な流れもあり銀行セクターは活況でした。
ここに来て、日銀が日本国債の利回り上限を拡大した事で収益拡大の期待からさらに上昇しています。
銀行は地銀再編の思惑などもありますので、しばらく市場のテーマとなりそうです。
日銀の姿勢変化に伴う投資戦略
以上を踏まえた上で、個人的にはグロース中心よりバリュー中心に投資をしたいと思います。
特に円安メリットに注目です。グロースに関しては、国債利回りの上昇は景気回復を反映した良い上昇という市場コンセンサスが生まれるまでは手を出しづらいです。具体的には、金利上昇とグロースが逆相関になっている状態ですので、これが反転するまでですね。
という事で個別銘柄に落とし込むと、
ファーストリテを売り、トヨタを買うです!
投資単位が高すぎて、お陰様で私の保証金率が低下中です(笑)
モリシラインとは!
ここまでは私の予想です。私の全体相場予想はあてにならないので、別な方を紹介します。
3月頭の全体相場の下落時に反転ポイントを当てたもりしさん。同氏はどこを反転ポイントと考えているのか?