バイデン米大統領が脱炭素への動きを表明。その後、菅総理も追随して始まった脱炭素の流れ。様々な関連銘柄が市場では物色されてきました。最近ではアンモニアが市場の注目を集めています。そこで、そもそもアンモニアとは何か?どう脱炭素と関連するのか?関連企業の業績への影響や関連銘柄、本命銘柄などをまとめていきます。
株式市場におけるアンモニアとは
アンモニアとは刺激臭を伴う化学物質。化学式はNH3。水素分子を多量に含むことから、水素のみを運搬するより効率に優れ脱炭素に向けて化石燃料の代替燃料として期待されている。
アンモニアの歴史
アンモニアが人類の歴史の中で使われるようになったのは、古代エジプトからで古くからその性質は認識されていたようです。現代化学のような認識は1794年にアメリカ人のジョゼフ・プリーストリーによって発見されました。
その後、ハーバー・ボッシュ法により工業生産が確立。水素と窒素を鉄などを主体とする触媒上で加熱して合成する。これにより、効果的な肥料を作ることができる為、現在では広く生産されており年間の生産量は世界で約2億トンとなっています。生産国の上位は中国・ロシア・アメリカ・インドで世界の生産量の半分を占めています。またその8割が肥料として使用され、残りも化成品の原料として使用されます。
市場のテーマとしてのアンモニアとは代替燃料と水素運搬
株式市場で期待されているアンモニアとは一つには化石燃料に変わる燃料としてのものです。アンモニアを燃焼する場合にはNH3とO2が反応することになるので、CO2(二酸化炭素)が排出されません。その為、火力発電に使われるLNGの代替としての使用が見当されています。既にIHIやトヨタなどが火力発電の実証実験に入っています。
また、H2(水素)よりも多くの水素分子を含んでいることから同じ容量を運ぶ際に多くの水素分子を運ぶことができます。また、上述のように肥料としての多く使用されていることから更に運搬や保管が水素よりも簡単であり既に確立されているという利点があります。そのため、水素を運搬する為に一度アンモニアにして、使用する際に水素に還元するという手法が研究されています。
代替燃料としてのアンモニアの課題
今後期待される役割としては上述の通り「水素の運搬」「直接燃焼」となることはお伝えしました。
既に水素を燃料とした内燃機関(自動車のエンジンなど)は開発されていますが、アンモニアを直接燃焼させて稼働する実用的なエンジンは開発されていません。また、アンモニアは直接燃焼させた際に窒素酸化物(NOx)を発生させます。大気汚染の元ですので、これを除去する必要もでてきます。除去方法自体は触媒を使う手法が確立されていますが、触媒を利用するということはそれだけ排気装置が複雑化することになるのでコストがかかります。
また、燃焼効率も課題となっています。LNGや石油などの燃料より着火性能が悪く燃焼しにくいとされています。結果として燃料あたりのカロリーが下がればそれだけ余計なコストがかかることになります。
アンモニア関連銘柄一覧
アンモニアは基本的に肥料として活用されてきましたのでたくさんの関連銘柄があります。ここではその一覧を記載していきます。
銘柄名 | 銘柄コード | 概要 |
中外炉工業 | 1964 | 2025年実用化に向けてアンモニア燃料による熱処理実証炉の実験を開始 |
ヨコレイ | 2874 | 冷蔵倉庫大手。フロンガスを使わずアンモニアを使用する冷蔵倉庫も |
旭化成 | 3407 | 総合化学企業大手。アンモニアの製造も行う |
昭電工 | 4004 | 総合化学企業大手。アンモニアの製造も行う |
三菱ガス化学 | 4182 | 日本で初めてアンモニアの合成に成功した会社 |
東洋エンジニア | 6330 | ロシア産アンモニアを国内発電所に供給 |