こんにちは、億トレサラリーマンです。
2025年1月、中国のほぼ無名のAIスタートアップ「DeepSeek(ディープシーク)」が世界中に衝撃を走らせました。
「DeepSeek-R1」という業界トップクラスのモデルと同等、もしくはそれ以上の生成AIモデルを発表し、AI業界は激震。AI半導体大手の米NVIDIA(エヌビディア)株の急落を招く結果となりました。
今回の記事では、AI業界に衝撃を走らせたDeepSeek(ディープシーク)とは何!?ということについて億トレが簡単に分かりやすく説明していきます。ぜひ読んでみてください!
ディープシークとは?
DeepSeek(ディープシーク)は、中国のAIスタートアップが開発した大規模言語モデル(LLM)および生成AIプラットフォームです。
2025年1月に「DeepSeek-R1」というモデルを公開し、AI業界で急激に注目されています。誰でも自由に利用や改変ができるオープンソースで数理推論やコーディングに強みを持っているモデルです。
ディープシークは誰が作ったのか
ディープシークは、中国浙江省杭州市を拠点としている創業わずか2年程度とかなり新しいAIスタートアップ企業です。
創業者は、梁文峰(Liang Wenfeng)というやり手の実業家、若干40歳にして金融分野でAIを活用したヘッジファンド「ハイフライヤー」を運営していた実績を持っています。中国版のサム・アルトマン(オープンAIのCEO)なんて呼ばれていたりするみたいですね。
資産も実績もあって、たった2年で世界に衝撃を与えるほどのモデルを作ったと考えるととにかくすごいの一言ですよね。
ディープシークはなぜAI業界をこれだけ激震させたのか
ディープシークはこれまでにも「DeepSeek-V3」などのいくつかの大規模言語モデルを発表していますが、さほど話題にはなりませんでした。しかし、今回発表した「DeepSeek-R1」がなぜここまで注目を集めたのでしょうか。
簡単に言うと、業界トップレベルのクオリティを激安で提供したからなんです。
通常、オープンAIのo1のような業界トップレベルのモデルを作るには500億とか1000億円とか莫大な資金がかかってしまうそうです。しかし、DeepSeek-R1はわずか9億円で開発されたと開発元は発表しています。どうやってそんなに安くで開発できるの!?って思ってしまいますよね。
さらに、DeepSeek-R1のAPI利用コストは、他の主要なモデルと比較すると20分の1くらいの価格で利用できるという、まさに価格破壊を起こしたんです。
簡単にいうと、こういった点からAI業界を激震させたというわけです。
どうやって低コストに抑えたのか
先述しましたが、業界トップレベルのクオリティのモデルを開発するには500億とか1000億とか莫大な資金が必要と言われています。
これをわずか9億円で完成させたカラクリはどうなっているのでしょうか。
安いチップを活用してコスト効率を上げた
開発の際にコストがかかる主要なものとしては、「NVIDIA(エヌビディア)の半導体」「電気代」「人件費」だそうですが、DeepSeek-R1はエヌビディアのNvidia A100チップという圧倒的に安価なものを使用していると開発元は言っています。今まで通りのチップの使い方ではなく効率化を図ったという感じで解釈して問題ないと思います。
ハイエンドなモデルになるとより細かい計算が必要になるため、かなり高性能で高価なチップを使わなければならないというのが今までの常識だったのですが、計算する量を減らすことで安いチップで済ませ、重要な部分では高いチップで高精度な計算をするみたいなイメージです。
そもそも、エヌビディアのチップは中国企業への販売が禁止されている(または数量制限されている)という話もあるみたいで、どうやって入手したんだろう!笑
この発表を受けて、株式市場では「エヌビディアのチップ不要なんじゃないか」「今後売れなくなるんじゃないか」という不安材料となり、エヌビディア株が急落するという格好になったのです。
効率的な計算構造
計算リソースの使用を最適化し、必要な処理にのみリソースを集中させる設計になっていて、他モデルに比べて計算効率が向上し、コスト削減につながっています。
分かりやすくいうと、通常の大規模言語モデルでは全ての分野に対して専門チームが存在して、計算の際は全てのチームが総動員して計算を行っていました。しかし、DeepSeek-R1では特定の分野の専門チームだけが稼働して計算コストを抑えるという手法を取っています。結果として、少ない計算で済むため安いチップで対応が可能にしたということになります。
AI業界はまだまだ発展途上であり、現時点ではまだまだ改善できる課題がたくさんあるというのは事実なので、そこをうまく突いてきたのがディープシークだということです。
ディープシークの主な特徴と競合モデルとの差異
推論能力の高さと数学的精度
数学の競技試験「AIME 2024」の正答率
ディープシーク「DeepSeek-R1」 | オープンAI「OpenAI-o1」 |
---|---|
79.8% | 79.2% |
圧倒的なコストパフォーマンス
100万トークンの入力コスト/API利用時
ディープシーク「DeepSeek-R1」 | オープンAI「OpenAI-o1」 |
---|---|
0.55ドル | 15ドル |
出力トークンのコスト/API利用時
ディープシーク「DeepSeek-R1」 | オープンAI「OpenAI-o1」 |
---|---|
2.19ドル | 60ドル |
オープンソースでの提供
ディープシーク「DeepSeek-R1」 | オープンAI「OpenAI-o1」 |
---|---|
している | していない |
この比較を見ると、AI業界に激震が走る理由が分かりますよね。
もちろん、その他の競合モデルの方が性能的に勝っている点はたくさんあると思いますが、トップレベルのモデルに匹敵するほどの性能でこれだけの価格で利用できるうえに、さらにオープンソースで提供しているというのは衝撃です。
無料で利用できたり、Hugging Face上でオープンソースを提供していることで簡単にカスタマイズができ、企業の独自AIシステムの構築にもたくさん活用されるでしょう。
ディープシークのAIチャットボットなんかは無料で利用できるため、個人ユーザーや小規模開発者がAIを活用するハードルがかなり下がって導入コストが大幅に下げられるというのも大きな魅力でしょう。
しかし、なぜディープシークはこれだけのモデルを開発してオープンソースを提供したのでしょうか。これにはいろいろな憶測が飛び交っていますが、ブランド認知を取りにいくためだというのが一番有力な線だと言われています。世界的に一番有名なオープンAIと同等以上の認知を得ることができれば、今後の展開もさらにしやすくなりますもんね。すごい経営手腕だと感心しました!
ディープシークの懸念点
セキュリティへの懸念
ディープシークは、中国の企業によって開発されたAIモデルであり、そのデータ管理やプライバシー保護の方針について、懸念の声が上がっています。特に、企業が機密情報を扱う際には、AIモデルがデータをどのように処理し、どこに送信・保存するのかを慎重に検討することが求められます。
また、中国政府の規制がこのAIモデルの運用にどのような影響を及ぼすのかは明確ではなく、今後の法制度の変化によっては、予期せぬリスクが生じる可能性もあります。そのため、企業がディープシークを活用する場合、自社のセキュリティポリシーや情報管理基準と照らし合わせ、適合性を慎重に確認することが不可欠です。さらに、データの取り扱いに関する透明性や、第三者による監査の有無についても十分に調査し、安全性を確保するための対策を講じることが重要です。
文章生成や会話の流暢さへの懸念
ディープシークは、特に数学やプログラミングといった分野で高い性能を発揮する一方で、自然な会話の流暢さやクリエイティブな文章の生成能力に関しては、ChatGPT-4などのモデルと比較するとやや劣ると指摘されています。例えば、マーケティング用のキャッチコピーの作成や、感情を込めた表現豊かな文章の生成においては、OpenAIのGPT-4の方がより自然で魅力的なアウトプットを提供できる可能性があります。
そのため、利用目的に応じて適切なAIモデルを選択することが重要であり、論理的な問題解決やコード生成が求められる場面ではディープシークが有効である一方で、創造的なライティングや対話の自然さを重視する場合はGPT-4がより適しているかもしれません。
日本語対応への懸念
ディープシークは、主に英語と中国語のデータを用いてトレーニングされているため、日本語の処理能力に関してはまだ改善の余地があるとされています。実際に、一部のユーザーからは、日本語での出力が不自然に感じられたり、文脈にそぐわない誤訳が発生したりするケースが報告されています。
こうした課題が指摘される背景には、トレーニングデータの偏りや、日本語特有の文法構造、ニュアンスの違いを適切に捉えきれていないことが影響している可能性があります。しかし、日本国内の企業や研究機関が独自に追加学習を行い、チューニングを重ねることで、今後日本語の対応精度を向上させることが期待されています。特に、特定の業界や用途に特化したデータを用いることで、日本語における表現の自然さや文脈の正確性を高めることが可能になるかもしれません。そのため、日本語環境でディープシークを活用する際には、現状の課題を理解した上で、補完的な対策を講じることが重要となります。
サポート体制や安定性への懸念
ディープシークは、比較的新しく設立されたAI企業であり、その運営方針やサポート体制が今後どのように維持・発展していくのかについては、まだ不確定な要素が多いといえます。特に、長期間にわたってこのAIモデルを利用することを検討している場合、サービスの安定性や定期的なアップデートの継続性について慎重に見極める必要があります。AI技術は急速に進化しており、競争が激しい市場の中でディープシークがどのように成長し、継続的に技術を更新できるのかは、今後の展開次第です。
また、企業が自社のシステムにディープシークを組み込む際には、将来的にサポート体制が十分に維持されるかどうかを事前に確認することが不可欠です。特に、大規模なシステムの一部として導入する場合、万が一サービスの提供が停止されたり、サポートが縮小されたりした場合のリスクを考慮する必要があります。そのため、導入を検討する際には、契約内容やサポートの保証期間、今後の開発ロードマップなどを詳細に確認し、代替手段も視野に入れながら慎重に判断することが重要です。
まとめ
突如現れてAI業界を揺るがしたディープシークの存在で今後のAI業界はどのような変革を迎えるのでしょうか。
このままの勢いで世界トップのモデルになるのか。もちろんオープンAIも黙ってはいないでしょうし、世界中のAIスタートアップも血相を変えて開発に取り組んでくるでしょう。
世界を驚かせたChatGPTが発表されたのは2022年とついこの間ですし、こういった競争があるから業界は成長し、洗練され、変化していくのでこれからのAI業界がすごく楽しみですね。
株式市場でもAI業界は最注目のテーマだと思うので、これから凄まじいスピードで変化していく業界をしっかりとチェックしていきましょう!
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