こんにちは、億トレサラリーマンです。
日銀は24日まで開いた金融政策決定会合で政策金利を0.5%程度に引き上げる追加利上げを決定しました。追加の利上げは2024年7月の会合以来、政策金利は2008年10月以来、17年ぶりの高い水準となりました。
さらに日銀の植田総裁は会見にて、この先も経済・物価の改善が続く見通しであれば、さらなる利上げを検討する考えを明らかにしました。
金利の上昇は株安傾向を招くというのが一般的な認識ですが、はたして本当にそうでしょうか?
今回の記事では、日銀が利上げをする理由や金利上昇するとどうなるのか、そして金利が上昇することで恩恵を受ける銘柄=金利上昇メリット銘柄についてお話ししていきます。
「利上げ」とは
「利上げ」というのは、中央銀行が政策金利を引き上げることを表す言葉です。
日本銀行(日本における中央銀行)は、紙幣や貨幣を発行したり、物価を安定させるための金融政策を講じたりする大きな権限を持ちます。
日本銀行が金融政策のひとつとして設定する金利のことを「政策金利」と呼び、政策金利が上がると民間の金融機関が設定する金利も併せて上昇するという仕組みです。金利とは、お金の貸し借りなどで発生する利息の割合のことで、金利が上昇することで企業や個人が金融機関からお金を借りる時の返済額が増えるということになります。利上げを行うことで、国内景気や物価、為替市場などの広い範囲に影響が生じます。
日本銀行が行う金融政策のなかで、利上げは「金融引き締め政策」と呼ばれます。
利上げする目的
利上げすることの大きな目的の一つとして、景気の過熱や物価の上昇を抑えるという効果があります。簡単に説明すると、金利が上がってお金を借りにくくすることで需要を抑えることで物価を下げるという流れになります。
今回のタイミングで日銀が政策金利の利上げに踏み切った理由としては、消費者物価指数が3%と高水準で今後も物価上昇が継続するだろうとの見方から物価上昇を抑えるために利上げを決定したということです。
賃金の上昇を上回るペースでの物価上昇が続いていたこともあり、今回のタイミングで利上げを決定したという感じでしょうか。実際、お米やガソリンなどもすごく値上がりしてますからね。
ただ、金利が上昇することでの悪影響やリスクは大きく、これをしっかりと見定める形で慎重に金融政策を継続していくという感じでしょう。
利上げが決まるプロセス
金利を上げるか下げるかは政府の議会で決まるわけではなく、日銀が金融政策決定会合を開き、審議を重ねて決定をします。この金融政策決定会合は、年8回開かれ、日銀の総裁1名、副総裁2名、審議委員6名の合計9名で多数決により決まります。今回の利上げを決定したタイミングでは、9名中8名の賛成と1名の反対で決定となりました。
こちらの金融政策決定会合については日銀の公式サイト上でも公開されているので、確認してみるのも面白いかもしれません。
利上げによる影響
それでは、ここからは利上げが行われるとどのようなところに影響が出るのか簡単に説明していきます。
◾️物価→下がる
金利が上昇すると物価が下がる理由は、主に消費と投資の抑制、および通貨価値の上昇による影響にあります。
金利が上がると、銀行の貸出金利も上昇し、住宅ローンや自動車ローンの返済額が増えたり、企業の借入コストが高くなったりします。その結果、個人は高額な買い物を控え、企業も新規設備投資を抑えるため、経済全体の需要が減少します。たとえば、住宅ローンの金利が2%から5%に上昇すると、住宅を購入する人が減り、不動産価格の下落につながることがあります。同様に、企業が新しい機械や設備の導入を見送ることで、生産活動が鈍化し、雇用や賃金の伸びも抑えられます。これにより、消費者の購買意欲が減退し、物価の上昇が抑制されます。
また、金利が上がると、その国の通貨の価値が上昇する傾向があります。利回りの高い国の通貨は投資家にとって魅力的になるため、多くの資金が流入し、通貨の価値が上がります。例えば、日本が金利を上げた場合、円の価値が上昇し、ドルやユーロに対して円高になります。円高になると、輸入品の価格が相対的に安くなり、国内の物価全体を押し下げる効果が生まれます。たとえば、石油や小麦などの輸入品の価格が下がれば、それらを原料とするガソリンやパンの価格も下がる可能性があります。
このように、金利の上昇は消費や投資の抑制、通貨価値の上昇を通じて物価を下げる方向に働きます。そのため、中央銀行はインフレが過熱した際に金利を引き上げ、物価の安定を図る傾向にあります。
◾️株価→下がる
金利が上昇すると株価が下がる主な理由は、企業の資金調達コストの増加、投資家のリスク選好の変化、および債券市場との競争にあります。
まず、金利が上がると企業の借入コストが増加します。企業は銀行や市場から資金を借りて事業を拡大したり、新たな設備投資を行ったりしますが、金利が上昇すると借入コストが高くなり、利益が圧迫されます。例えば、製造業の企業が設備投資のために金利3%で100億円を借りていた場合、金利が5%に上がると支払う利息が増え、利益が減少します。利益が減れば、将来の配当や成長期待も低下し、投資家はその企業の株を売る可能性が高くなります。
また、金利の上昇は投資家の資産配分にも影響を与えます。一般的に、低金利の環境では債券の利回りが低いため、投資家はリスクを取って株式市場に資金を投じます。しかし、金利が上がると、安全資産である債券の利回りが上昇し、相対的にリスクの高い株式の魅力が低下します。例えば、10年国債の利回りが2%から4%に上昇すれば、リスクを取らずに安定したリターンを得られるため、株式市場から資金が流出する可能性があります。
さらに、成長株のように将来の利益を重視する銘柄は特に影響を受けやすくなります。金利が上がると、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引く際の割引率が高くなり、企業価値が低く計算されるため、特にITやテクノロジー関連の成長株が売られやすくなります。
このように、金利の上昇は企業の収益悪化、投資家の資金移動、株式価値の低下を通じて、株価を押し下げる要因となります。そのため、中央銀行が利上げを示唆した際には、株式市場が敏感に反応し、下落することが多い傾向にあります。
しかし、金利が上昇した時に恩恵を受けるセクターや銘柄があるのも事実です。こちらについては、後ほど触れていきますので確認してくださいね!
◾️日本円→上がる
一般的に投資家にとって魅力的なのは金利が高い国の通貨なので、金利が低いところから金利が高いところに需要が流れていくというのが一般的です。そのため、金利が上昇すると円高になるというのが考えられます。
円高になると、海外から商品などを輸入する際の価格が下がるため、ほとんどを輸入に頼っている原油などのエネルギー資源の価格が下がり、燃料を多く使用するような企業では大幅なコストカットになるというメリットがあります。
金利上昇メリット関連銘柄とは
この記事で解説する金利上昇メリット関連銘柄とは、金利上昇することで恩恵を受ける銘柄のことを指します。
まずは、簡単にどういったセクターが金利上昇のメリットを恩恵を受けやすいかを解説していきます。
銀行株
金利上昇のメリットを受けるセクターというとまずは、銀行株だと思います。
銀行というのはお金を企業や個人に融資してその利息がメインの収益源になるので、金利が上昇すると業績が上がると考えていいと思います。
保険株
金利上昇のメリットを受けるセクターとして注目されやすいのは保険株です。
生命保険会社は、保険商品を売ることで固定金利で顧客からお金を借りている状態で、その人が亡くなった場合にお金を返すという仕組みになっています。お金を返却するまでの間は、そのお金を自由に運用することができ、その利ザヤが収益となります。
空輸株
個人的に、一番金利上昇のメリットを受けやすいと思うセクターは空輸株です。
金利が上昇することで円高基調となり海外旅行者が増えるという点や円高になることで燃料費のコストがかなり抑えられるという点から金利上昇時のメリットを大きく享受できるセクターだと思います。
逆に注意したいセクター
金利上昇時に株安傾向にあるセクターとして一番注意したいのは不動産株です。
金利が上がることで住宅を購入する個人や設備投資などをする企業が減るというシンプルな理由です。金利上昇時には下落しやすいので十分に注意が必要でしょう。
金利上昇メリット関連銘柄 一覧 まとめ
それでは、ここからは億トレが注目している金利上昇メリット関連銘柄の一覧にまとめたものをご紹介します。
金利上昇メリット関連銘柄一覧まとめ/銀行株
金利上昇メリット関連銘柄一覧まとめ/保険株
コード | 銘柄名 |
---|---|
6178 | 日本郵政 |
6758 | ソニーグループ |
7157 | ライフネット生命保険 |
7181 | かんぽ生命 |
7326 | SBIインシュアランスグループ |
8591 | オリックス |
8630 | SOMPOホールディングス |
8750 | 第一生命ホールディングス |
8766 | 東京海上ホールディングス |
8795 | T&Dホールディングス |
金利上昇メリット関連銘柄一覧まとめ/空輸株
億トレ注目の金利上昇メリット関連銘柄の本命株【5選】
ANAホールディングス(9202)
東証プライム|PER11.4倍|PBR1.30倍|時価総額1兆4,049億円 ※2025年1月30日時点
ANAホールディングス(9202)は、国内線・国際線ともに日本トップの航空会社です。航空運送事業を主軸に、ホテル、商社、ITなど幅広い事業を展開しています。国内外の航空路線を運航し、高品質なサービスで高い評価を受けています。近年は環境対応やデジタル化を積極的に推進しており、コロナ禍による影響からの回復に向けた取り組みも進めています。
金利上昇に伴う円高基調のメリットを大きく受けられるセクターとして空輸株を挙げましたが、空輸株のなかで最も本命と言える銘柄だと思います。日銀の利上げ発表から数日連騰していることからも投資家の評価が高いと言えるでしょう。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
東証プライム|PER13.0倍|PBR1.11倍|時価総額23兆6,044億円 ※2025年1月30日時点
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は、日本最大級の金融グループで、三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJ証券などを傘下に持ち、銀行業務、信託、証券、資産運用など幅広い金融サービスを提供しています。国内外に強固なネットワークを持ち、グローバルな事業展開を推進しています。デジタル化やESG経営にも注力し、持続可能な成長を目指しています。
金利上昇時にはまず銀行株に視点が集まるのが一般的ですが、日本で一番のメガバンクである三菱UFJ銀行を有する同社が金利上昇メリット関連銘柄の大本命だと考えて問題はないでしょう。
九州フィナンシャルグループ(7180)
東証プライム|PER11.8倍|PBR0.48倍|時価総額3,613億円 ※2025年1月30日時点
九州フィナンシャルグループ(7180)は、鹿児島銀行と肥後銀行を中心とする地域金融グループで、九州地方を主な営業基盤としています。銀行業務を中心に、リース、証券、コンサルティングなど多様な金融サービスを提供し、地域経済の発展に貢献しています。デジタル化や地方創生にも注力し、企業や個人の幅広いニーズに対応しています。
台湾TSMCが熊本に巨大な工場を建設したことからも注目が集まる銘柄で、色々な地方銀行株のなかで億トレがかなり注目している銘柄です。
かんぽ生命保険(7181)
東証プライム|PER9.7倍|PBR0.35倍|時価総額1兆1,630億円 ※2025年1月30日時点
かんぽ生命保険(7181)は、日本郵政グループに属する生命保険会社で、日本全国に広がる郵便局ネットワークを活用し、幅広い顧客に保険サービスを提供しています。シンプルで分かりやすい商品設計が特徴で、個人向けの終身保険や養老保険などを中心に展開しています。近年はデジタル化の推進や顧客サービスの向上に取り組み、経営の透明性強化にも努めています。また、高齢化社会に対応した商品開発や社会貢献活動にも力を入れています。
金利上昇時には銀行株よりも保険株の方がメリットを受けやすいなんて言われてもいますので、生命保険会社の中でも株価指標面で割安感の強い同銘柄を選びました。金利上昇メリット関連銘柄の本命として考えて問題ないと思います。
第一生命ホールディングス(8750)
東証プライム|PER12.0倍|PBR1.09倍|時価総額4兆272億円 ※2025年1月30日時点
第一生命ホールディングス(8750)は、日本を代表する生命保険グループで、第一生命を中心に、国内外で保険・資産運用事業を展開しています。個人・法人向けに多様な保険商品を提供し、長期的な安心を支える役割を担っています。近年はデジタル技術の活用やヘルスケア分野への参入を進め、顧客サービスの向上に注力しています。海外市場にも積極的に展開し、グローバルな成長を目指しています。また、ESG経営を重視し、持続可能な社会の実現に貢献しています。
こちらも金利上昇時にメリットを受けやすい保険株から選出しました。生命保険会社で日本で一番の企業なので、金利上昇時にはまず投資家からの需要が集まりやすい銘柄だと思います。こちらも金利上昇メリット関連の本命株といってよいでしょう。
金利上昇メリット関連銘柄まとめ
2024年3月、7月ときて今回2025年1月に追加で利上げがあったこともあり、金利上昇メリット関連銘柄には注目しておいていいと思います。特に、今回の記事でも触れた銀行株・保険株・空輸株なんかはメリットが分かりやすいということもあって投資家目線で買いやすい(資金が集まりやすい)銘柄だと言って良いでしょう。そのなかでも、金利上昇時には割安感のあるバリュー株が好まれる傾向にあるため、今回は金利上昇メリット関連銘柄の中でも特に割安感のある銘柄を本命株として厳選しています。
金利上昇メリット関連銘柄はどれも時価総額の大きな銘柄になってきてしまうので、大きなボラティリティーが望めないため、普段中小型株を中心に選定している方にとっては少し退屈かもしれませんね。
賃金や物価の状況で継続して利上げしていくのか、はたまた金融緩和策に出るのかというのはなかなか読みにくいので判断が難しいところですが、しっかりチェックして利益獲得を狙っていけるといいですよね!
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